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津軽三味線国際シンポジウム

グローバル化する津軽三味線

津軽三味線 津軽三味線国際シンポジウムの開催

2010年9月19日、世界で初となる「津軽三味線国際シンポジウム」が弘前市において開催されました。
本シンポジウムは、津軽三味線100年の歴史と到達点を、その奏者とファンが共有し合い、 互いに交流を深めるとともに、津軽三味線が今直面している課題を明らかにしようという目的のもと、とりおこなわれました。
そして長期的には、21世紀の世界に津軽三味線が強く高く羽ばたくことになるための、準備を行うための試みでもあります。
第一回の国際シンポジウムでは、様々な識者の方々から貴重な講演を伺うことができました。

パネラー紹介

笹森建英
弘前学院大学教授、同大学地域総合文化研究所所長講演内容
ジェラルド・グローマー
山梨大学教育学部教授講演内容
ジェームズ・ウェスタホーベン
弘前大学教育学部教授講演内容
松木宏泰
民族音楽研究家講演内容
民族音楽研究家
岩木山観光協議会講演内容

講演内容

第一回津軽三味線国際シンポジウムの講演内容を要約してご紹介します。

基調講演「津軽三味線は如何にして国際化するか」

コーディネイター:笹森建英 弘前学院大学教授、同大学地域総合文化研究所所長

要旨:藩政期に津軽地方で行われていた邦楽・民謡について探る。 この探求を通じ、「津軽三味線の音楽」のルーツを、ソロとしての楽曲様式としてとらえるか、 津軽の庶民が親しんできた民謡に遡るのかについて問う必要がある。 歴史のある一点に淵源を求めるより、庶民の音楽行為の積み重ねから収斂されたものと見なすのが自然である。
現代音楽に対する津軽三味線の影響力を論じるため、様々な要因の中から特に高橋竹山と山田千里について述べる。 高橋竹山の功績については、明確でビートの効いた拍節リズム、独特なソノリティ、即興性などの点で新たな様式を創造したとする。 山田千里の功績については、他の多くの楽器とのフュージョンを通じて津軽三味線の可能性を大幅に広げたこと、 企画者・興業家としての活動、弟子の養成や全国的な組織作りにあるとする。
最後に津軽三味線の国際化に向け、本シンポジウムの果たす役割について 「津軽三味線がどのように発展していくのか、その見取り図を描くことにある」と定義する。

津軽三味線の音楽的意味について

パネラー:ジェラルド・グローマー 山梨大学教育学部教授

要旨:津軽三味線の音楽的論理と意味を、次の5点に分けて整理する。

  1. 旋律的要素
  2. リズム的要素
  3. 形式的要素
  4. 和声的要素
  5. 楽器の種類と音色
これらの点を抜きにしては津軽三味線のみならず、音楽の本質に迫ることはできず、 また津軽三味線という音楽において、これら5点での独自性が無ければジャンルの衰退を生むことになる。 すなわち、津軽三味線の未来を保証するものは、音楽的意味にこそある。

津軽民謡について〜歌詞の変遷から本質を考える〜

パネラー:ジェームズ・ウェスタホーベン 弘前大学教育学部教授

要旨:西洋音楽における民謡の特徴、すなわち「歌の形で何かのできごとを語る」というバラッドの形式に対し、 日本の民謡は古里を歌うだけの定型的な、貧弱な内容に見える。
しかし津軽三味線が即興を特徴とするならば、津軽民謡にも即興の名残をたどることができるのではないだろうか。 「津軽じょんから節」や「黒石よされ節」の歌詞の変化をたどると、ある時点で津軽民謡の歌詞が定型化してしまったことが考察される。
現在の津軽民謡が歌詞そのものではなく、歌手の声と歌い方に重点を置くことについて認めるためには、 津軽民謡は「美しく」なってはいけない。津軽三味線が「洗練された」芸術とは正反対の「泥臭い」芸術であることに対し、 津軽民謡もまた同じであらねばならないのである。

津軽から全国へ 「津軽三味線奏者の広がりについて」

パネラー:松木宏泰 民族音楽研究家

要旨:津軽三味線の奏者が、津軽から全国へ広がった経緯を次の5段階に分けて解説する。

  1. 東北、北海道巡業。昭和元年(1926〜)
  2. 民謡ブームと奏者の上京。昭和32年(1957〜)
  3. 木田林松栄と高橋竹山の活躍。昭和48年(1973〜)
  4. 津軽三味線全国大会弘前、金木大会の開催。昭和57年(1982〜)
  5. その他のエポック

民謡・津軽三味線と行政

パネラー:小山伸吉 岩木山観光協議会 事務局長

要旨:津軽民謡・津軽三味線が、能や歌舞伎、浄瑠璃などの伝統的諸芸能と比較することは可能なのか。 そのためには「文化財」としての価値を判断するのではなく、芸術的価値の観点で論じる必要がある。 財政的に困窮した弘前市に津軽三味線保護活動の助成を求めるためには、地域の活性化を主にした社会性の強い事業形態をとる必要がある。